各企業がグローバル展開に力をいれる昨今、英語を話せる留学生や帰国子女は就職活動において圧倒的に有利なのではないかという見方があります。
しかし、意外にも「希望する企業・業界から内定をなかなか貰えないバイリンガル」が多くいるようです。
以下で、英語を使って仕事がしたいと考える方が陥りがちなワナを紹介します。
1.「英語だけ人間」になっている
今まで培ってきた英語力をアピールして自分がグローバル人材であることを主張しつつ、他の求職者と差別化を図りたいという気持ちは確かに間違ってはいません。
しかし、「私はTOEIC900点で、英語には自信があります。なので、グローバル化を掲げる御社には貢献できると信じております」と英語力だけをアピールしてしまっては、「英語が話せるのはわかりました。で、他には何ができるのですか?通訳を採用したいわけじゃないのだけど…」と面接官は感じてしまうことでしょう。
このように、英語力の高さだけをアピールする「英語だけ人間」になってしまっては非常にもったいないです!
英語はあくまでコミュニケーションツールです。
企業は通訳を採用したいのではなく、「自分で考え、業績向上につながる行動のできるビジネスマン(もしくはビジネスウーマン)」を採用したいのです。
繰り返しになりますが、英語はあくまでコミュニケーションツールです。
面接官は、学生がいかに流暢に英語を話せるかを見ているのではなく、何を語りたいのかを見ています。
「自分にはこんな夢があって、こういった考えを持っていて、それらを世界中の人と共有する手段として英語も話せます」といったスタンスで挑んだ方が良いでしょう。
2.「バイリンガル=外資系企業に就職したい」と思ってしまう
確かに外資系企業では、高いレベルの英語力が求められるため、グローバルな印象が強いと思います。
では、「グローバル」とは何でしょうか?
外国人に囲まれ毎日英語ベースで仕事をすることをグローバルと呼ぶのなら、確かに外資系投資銀行などはグローバルと言えるでしょう。しかし、海外で働くことをグローバルと呼ぶのなら、日系でも海外事業を展開している企業なら海外派遣のチャンスは大いにあります。
逆に外資系の場合は通常東京勤務となります。「英語が話せる=外資系志望」という考えからは一度頭を離したほうが良いでしょう。
外資系企業の事業内容に興味や適性があればよいのですが、「外資系=グローバル」というイメージだけで志望業種・企業を狭めてしまうことは非常にリスキーです。
もし、そうした漠然としたイメージで志望企業を狭めている場合は、就職して何をやりたいのかをもう一度十分に検討し直す必要があります。
<帰国子女が強調するべき点>
とはいえ、せっかくの海外経験。今まで努力してきたのだから、何かしらの形でのアピールはもちろん積極的に行って問題ありません。では、どんな点を強調するべきなのでしょうか?
ポイントは、英語+αです!
以下では、英語以外に訴えるべき点をいくつか簡単にご紹介します。
1.環境適応能力
初めて海外に移住したとき、また海外から日本に移住してきたとき、それ以前に生活してきた空間とは全く異なる環境に合わせて自然と行動してきたと思います。
そういった環境の変化にストレスを受けつつも、一方でそれぞれの状況に見合った言動をとれる柔軟性も培われたのではないでしょうか。
文化的バックグラウンドの異なる人々の間で、どのようにコミュニケーションを図ってきたかを具体的に説明できれば、自分は柔軟に物事を対処できると主張できるはずです。
2.積極性
自分から留学をしたのであれば、「自分の夢のために住み慣れた環境から勇気をもって飛び出すことのできる積極的な人間」と言えるでしょう。
たとえば、「1年間の語学留学経験があり、TOEICの点数は950点です」とただ当たり前の事実を並べるのではなく、なぜ海外に行こうと思ったのか、現地の人と溶け込むためにどんなことをしたのか、その結果どんなことに気づき、感じ、努力したのかと述べることができれば、自分の積極性のアピールにつながってきます。
3.多角的な視点から物事を観察する能力
数年間の海外生活を通し、日本での常識が海外では通用しなかったり、逆に海外では当たり前のことなのに日本では知られていなかったり…。そんな経験も多々あったのではないでしょうか。
それらを言い換えれば、1つの視点にとらわれることなく、様々な角度から物事を見るように努力してきたと主張することができます。
以上の3点はあくまで例えであり、非常に抽象的です。
しかし、自分の体験談を織り交ぜ、自分なりの意見に変換できれば有効な自己アピールにつながるのではないでしょうか。
おわりに
グローバル化していく市場の中で、言語能力へのニーズは今後も高まることが予測されます。ただし、言語能力はあくまで求められる能力の一部でしかないということは頭に入れておいてください。
自分が英語が話せることに慢心していては、その他大勢に埋もれてしまいます。
しかし、英語だけではない自分の持つ能力をアピールできれば、逆に他の求職者をリードできる可能性が高まります。
留学生の皆様が、このワナを乗り越え、自身の能力を最大限活かした活躍ができる事を願っております。